カラス

左の丸いトップライトのてっぺんで、高見の見物をしていたカラスが飛び立った。見るからにやわらかい筋肉だ。肩は真上に向いているのに、指先は真下に向いている。これを1秒間に何回も羽ばたくのだから凄い。鋼鉄の体と自称する僕の筋肉はとっても固くて、前屈でがんばってみても床面は遥か彼方だ。飛ぼうと思っているわけではないので心配ないが、飛ばなければならない種類の生き物に生まれてきていたとしたら、やばいところだった。
ところで、カラスは飛んでいる間に筋肉が攣ってしまうことは無いのだろうか。あるとしたらそのときどうなるのだろう。攣った瞬間、筋肉を動かせないのだから自由落下してしまいそうだ。高いビルの屋上から飛び立ったカラスは、筋肉が攣ってしまったら数百メートルの自由落下の後、まるで飛び降り自殺のようにアスファルトに叩きつけられて死んでしまうのだろうか。山の急斜面の高い木から飛び立ったカラスは、筋肉が釣って瞬間から、だれも来てくれない森の中で堆肥になっていくのだろうか。なんとかその前に直るだろうか。