雨の青田

長坂町へ行ってきた。
台風6号の影響による久しぶりのまとまった雨が降る中、1尺ぐらいに伸びた稲の緑が特に際立って美しく見えた。
僕は縁あってこの町の田んぼで収穫される米を分けて頂いている。このあたりの米は梨北米と呼ばれていて、なかなかのブランドらしい。事実、美味しい。特に、僕が分けてもらっている米は、普通に売られている米と違って混じり気無しだ。つまり、いくつかの田んぼの米が混ざっている市販の米とは違い、一つの田んぼ(ひとりの耕作者)からできる米だけの袋なので、とても均質なのだ。県内では釜無川の対岸で産する武川米がトップブランドだが、僕は負けていないと思う。やはり混ざっていないのが、きっと良いのだ。とても美味しい。
それまで買っていた普通にビニールの10kg袋で売っている米は、いろいろな田んぼの米が混ざる。独身時代には標準米ってのを食べていたけれど、これに至っては違う田んぼどころか違う品種も混ざっていそうだ。高級米でもいろいろな田んぼの米が混ざれば、微妙な作柄の違いや乾燥度合いの違いなどから、炊き上がりにムラができる。違う品種や古米が混ざっていればなおさらだ。
米を一粒抜き取って、糖度だの何だのを測って美味しさを比べるやりかたがあるが、僕からすればそれはナンセンスだ。米は一粒ずつ食べるものではない。数値の高い高級ブランドだから無条件に美味しいと考えがちだが、数値的に若干劣ってしまった有名ブランドでない産地の米でも、袋詰めまでの過程に気を使って質を揃えられれば、味はぐっと高級ブランドに近づき、場合によっては超えることすら出来るかもしれない。僕はそう考える。
なでしこジャパンがワールドカップで優勝した。一人ひとりの能力や体格はアメリカチームやドイツチームに劣るところもあるけれど、チームの結束や精神的な強さが勝利をもたらした、と言っている記者(解説者)がいた。インタビューで選手もそのようなことを言っていた。そういう意味で、僕が今日買ってきた米は、なでしこジャパンのような米だ。今夜も美味しく頂いた。