八丈島で見た星

八丈島では星空も印象的だった。光害が極めて少ない空には、天の川も良く見えた。
5日夜遅く、サバイバル踏破で疲れきった生徒たちは、あちこちのビバーク地できっとぐっすりと眠りについていた。僕は踏破担当のサムさんに最後の見廻りの車に乗せてもらった。BCを出たのは23時過ぎのこと。昼間の給水でほとんど会うことができなかった、自分が担当している4班の様子も見たかった。本来は乙千代ヶ浜でビバーク予定だった4班は、残念ながら立ち入りが出来ず、代わりに公民館をお借りしていた。公民館では、蚊が多くて眠れないとVLのあいちゃんが辛そうにしていたが、生徒たちは僕らが来たことにも気づかずに爆睡していた。安心した。
今度は横間ヶ浦へ。ここは海岸から少し高台に上がったところの東屋で5班がビバークしていた。波の音が大きいせいで寝付けないのか、起きた生徒がいたようだった。黒い水平線の上からは、天の川が頭の上に向かって大きなアーチをかけていた。僕はここで10分ぐらい星の撮影をさせてもらった。
いて座の方向は、我々の天の川銀河の中心方向にあたる。そのため、天の川が一層幅広く、濃く見える。銀河の片田舎にある太陽系からネオン輝く都心の街明かりを見ているようなものだ。僕は天の川銀河蚊取り線香に例えて説明することがあるが、そうするといて座の方向は真ん中のあたりで、太陽系は早く燃えてなくなる周辺部に位置することになる。
今回の海洋道中では、1眼レフカメラは悩んだ結果持ってきたのだが、赤道儀を持ってこなかった。そのため、三脚に固定しての撮影しか出来なかった。この写真は30秒露光の写真を2枚重ねて処理したので、拡大すると星が少しだけ線になっている。ちょっとだけ地球が動いたからだ。天の川も強調処理したので、肉眼でこんなに見えていたわけではない。こんな写真でもせめて役立ててみるかと、星座線や星座名などを書き入れて教材っぽくしてみた。
海辺でのビバークにつき、5班担当のタイソンさんはここで寝るために車を降りた。屈強なタイソンがついていれば生徒たちも安心だ。僕はBCに帰ってからも数枚星の写真を撮った。睡眠時間が益々短くなってしまったが、満足な夜だった。