御蔵島

東京と八丈島を結ぶ航路は、途中で三宅島と御蔵島の港に立ち寄る。
御蔵島は島のほぼ全周が絶壁にかこまれていた。八丈島の底土港から見た岸壁(8/13のスケッチ)のようだ。八丈島のその絶壁は、三原山からなだらかに続く稜線が、登龍峠を越えると急激に海に落ち込んでいる。稜線と海の関係は、手探りのようにゆっくりと近づいていたのが、峠というきっかけを経て、稜線は海に向かって一気に接近し全てをゆだねてしまう。そんな感じだ。
御蔵島八丈島も火山島。海には珊瑚もわずかに見られたが、珊瑚礁ではない。周囲の海は急激に深くなり、深さ1000メートルを越える海が島を取り囲んでいる。火山島では、火山が噴火すれば、溶岩は海に向かって流れ、八丈島で見られた南原のようになだらかな海岸となるだろう。しかし、海は波となって押し寄せ、長い年月の間に岸辺を削り取る。
利根川多摩川など、川は急流から始まり最後は三角州で終わるということを、教科書や資料集の図解で何度も見た。川の典型例はそういうものだということだ。でも、御蔵島では違う。写真のように、御蔵島の川は最後は三角州ではなく滝で終わる。滝の水は海に注ぎ、海は島を洗い続け、島を削る。島の岸はどんどん険しくなっていく。