風見鶏

音更にある保育園の屋根には、近ごろ珍しい風見鶏がついていた。なかなか風情がある。残念ながら風が吹いていなかったので動作を見ることはできなかったが、方角は合っているようなので稼動しているのだろう。
風見鶏の本場ヨーロッパでは、風向きを調べるためだけでなく、魔除けの意味もあるのだという。どういう由来かはわからない。
風向きを調べたり、魔除けになったりとなかなか役に立つ風見鶏だが、マイナスの意味にも使われることがある。それが「日和見な人」というもの。これは英和辞典にもあったから、風見鶏の生誕と同様に西洋起源の意味かもしれない。屋根の上の風見鶏に意思があるとすれば、人間のためにせっせと働いているにも関わらず、役に立つ人という意味ではなくて否定的な意味で使われるのは悔しい限りだろう。
ところで、僕が小学生から高校生ぐらいの頃、マスコミに「風見鶏」というニックネームをつけられていた政治家がいた。さて、(1)風を見る能力があった。(2)魔除けの力を持っていた。(3)日和見な人だった。彼は、何番の意味でマスコミから風見鶏と呼ばれていたのだろうか。当時テレビや新聞で報じられていたときに僕が感じていたのは、少なくとも良い意味では使われておらず、不名誉な意味だろうなということだった。彼は後に総理大臣に上り詰め、近ごろの総理大臣とは違って長い任期を勤めた。今思えば(1)と(2)を持っていたのだろうと思う。(この際、思想や手法についての好き嫌いは別として)