空き店舗

通勤帰りの車が行き交う夜の国道沿いに、大きな空き店舗がある。中はがらんとして何も無くなっている。以前は若者向けの洋服店が入っていた。こうなってもう何ヶ月になるだろうか。かつては店内にある色とりどりの服を除き見ることができた大きなガラスには、国道を通り過ぎる車のライトと赤いテールランプの光が映り込む。
この周辺には他にも空き店舗が少なくない。廃業してしまった病院、シャッターが虫歯状態に閉まっている店舗長屋、食品工場も閉めてしまい建物だけが残る、古本屋があった場所は更地になってしまった。
甲府駅近隣の中心市街地の衰退が言われて久しいが、中心市街地から客足を奪ったといわれる郊外の店舗も実態はこのとおりだ。

僕はこの「空家」が今後はとても深刻な社会問題になると考えている。更地になってしまえばまだ良いのだが、空き家のまま残ってしまうと始末が悪い。借り手や買い手がつかないと次第に草が生え、金属は錆び付き赤くなり、どんどんみすぼらしくなってくる。
自然の風景を売り物にしているような観光地ではなおつらい。1980年代に栄華を誇った清里には景観を台無しにしている空き店舗が少なくない。商業的栄華のあおりで、観光資源であったはずの牧場風景は激減した。
千葉県で人口減少というニュースがあった。少子化人口減少社会の中では確実に空家が増えていく。日本中が廃墟だらけになるのは恐ろしい風景だ。