つるし飾り

つるし飾りと言うのだろうか、人形だったり動物だったり玉などいろいろな色と形がある。これだけどっさりあると壮観だ。おばあちゃんが端切れを使って作る小物という印象があるのだけど、近頃は手芸ブームだとも言うから、こういうのも流行っているのかもしれない。

小学校6年生のときだったと思うが、学校の家庭科の授業で刺繍をやった。刺繍用って感じの目の粗い布を買わされた。曲げわっぱのような道具を買わされた。刺繍用の色の付いた糸を何色だったか買わされた。針も専用のものだっただろうか。母親は「何で男の子にこんなもの買わなきゃなんないんだろ」と言いながら曲げわっぱを人差し指でクルクルやっていた。
指先のチマチマした仕事が嫌いじゃない僕にとって、刺繍は案外面白かった。でも、布の織り目をマス目に見立てたり、糸を縫う方向を模様に生かしたりというようなテクニックを知っている女子の作品に比べるとなんとも貧相なものになった。作ったのはランチョンマットだったと思うが、とても使う気になれず授業の終了とともに僕の視界からも記憶からも消えた。あの曲げわっぱは僕が数時間使っただけで役目を終えた。
今あらためて思い出しても、ああいうもので成績を付けられるという事に合点がいかない。「事業仕分け」というのがあったが、「授業仕分け」というのもあって良さそうだ。