霧の愛宕山

昨日からの雨が続く朝、職場のある愛宕山に登ったらとろ〜んとした霧の中だった。色彩に乏しくコントラストの弱い景色が目の前に二次元のように広がり、ほんの数十メートル先を見ることができない。左側は桜、右側はコナラやクヌギ、両側から枝が覆いかぶさる。
霧と言えば摩周湖、と考える人は多いことと思う。僕は幸いにして2回行って2回とも快晴の摩周湖を見ることができた。いい眺めだった。でも、正直なところもっと感動するかと思っていたが、それほどでもなかった。やっぱり1回目は霧で見られなかった、という方が2回目にしっかり感動できたのだろう。あるいは、1回目も2回目も霧だったから未だに見てません!ってほうが良いのかもしれない。
そう、つまり僕は「霧の摩周湖」を見たことが無いのだ。霧の摩周湖は霧に覆われてしまって湖面も湖岸も見えないのだが、それが人の心をもったいぶらせていろいろな想像をさせてしまう。しかも、湖面には霧が立ち込めつつも観湖台がそうでなかったとすれば、まるでドライアイスの湯気をたゆらせた昭和の歌番組のスタジオのような、演出度Maxの景色になることだろう。
愛宕山の景色はむしろ見慣れているはずなのに、霧に覆われてみたらなんだかいつもよりきれいに感じる。気のせいとわかっていながら、不思議な効果にだまされてみる。