ハクモクレン

昨日、身延町内で撮影。50mm1.8という古いレンズを使った。このレンズが発売されたのは30年以上も前のこと。ニコンEMという小さな小型ボディといっしょに発売され、ボディの大きさに見合うよう、薄型に設計されたいわゆるパンケーキレンズだ。
当時、ニコンはボディがでかいことが欠点みたいに言われていたいた。高級機のF2は良いとしても、普及機のニコマートもでかかった。70年代後半にニコマートがフェードアウトして替わって出てきたのがFM、次いでFEで、FMのキャッチフレーズは「小さくなってもニコンニコン」、FEは「シンプルニコン」だった。僕は待ってましたという感じでFEを買った。でもその頃の他社は、オリンパスOMやアサペンMシリーズなど、より小型になった機種をすでに出していて、FMやFEはニコンとしては小さいけど他社も含めて比べると小さくも軽くも無かった。僕もFEを買うときにはオリンパスOM2とアサペンMXとミノルタXDあたりで少し悩んだ。決め手はレンズだった。天文雑誌に掲載されている読者の天体写真はほとんどがニコンかアサペンのどちらかで撮影されていた。オリンパスミノルタ、キャノンは少数派だった。それでニコンとアサペンを比べるとアサペンのレンズで撮られた写真は星の周りに青い滲みがあった。
ニコンFEについていたのは50mm1.4というレンズで、僕はこの組み合わせで天体写真や普通の写真をいっぱい撮った。いっぱいと言ってもフィルム代も現像代も僕のお小遣いには負担が大きいので、1枚1枚を慎重に撮影した。デジカメ時代の今では考えられない。それでも冬の天体写真撮影で霜が付いたり、夏の暑い車の中に置かれたりで、50mm1.4はすっかり疲れてしまった。ピントリングはスカスカになった。そして就職してお金に余裕が出始めると、新しくレンズを買い始めた。その何本目かが中古で買った50mm1.8だった。銀座の中古屋さんにあった3本を前から後ろから舐め回すように見比べて1本を選んで買った。
50mm1.8も今ではスカスカになってしまった。D7000に取り付けて使うとライカ判に換算して75mmぐらいになるので、視野がちょっと狭い。近頃はズームにすっかり慣れてしまったのでレンズの視野にあわせて自分が動く必要があるというところが新鮮に感じる。