一升葡萄酒

山梨県ではワインを一升瓶で売っていることが少しも珍しくない。案外この状況を見て驚く人が少なくない。僕も実は引っ越してきた頃にはちょっと驚いた。
僕は大学の1年生と2年生の頃、お酒売り場でアルバイトをしていた。そのときに初めて一升瓶につめられたワインがあることを知った。その店で売っていたのはサントネージュのワインで、ときどき交替でマンズワインの一升瓶も来ていたかと思う。サントネージュの一升瓶ワインは「甲斐の国」という名前で、赤、白、ロゼがあった。その店では一升瓶ワインを2本一組で縛ってセット価格で写るというやり方だった。主に同じ色のワインを組にするのだが、ときには赤と白とかロゼと白のような異種の組み合わせで縛ったりもした。僕はこのおかげで一升瓶を2本組みでしっかりと縛るテクニックを覚えた。今でもわずかな紐の長さでしっかりと縛ることが出来る。ついでに、日本酒の一升瓶を紙で包むのも上手だし、お歳暮のウイスキー詰め合わせをカッコよくパシッと包むこともできた。店で一番上手なつもりでいた。
その店は一升瓶だけでなくワインには力を入れていて、外国や国産のワインがいろいろあった。オーナーさんはいろいろなワインを試飲させてくれたので、学生風情で一丁前にもワインを語ってみたりもしていた。日本のワインに比べるとフランスのワインなどは味の種類がはるかに幅広いと思った。ドイツワインも好きになった。より知りたくてラベル(エチケット)の読み方を勉強した。でも、一番好きだったのは甲州新酒だった。安くて旨いのが何より良かった。
バイトしていた頃に一升瓶ワインを毎日のように見ていたのに何故山梨に来て一升瓶ワインに驚いたかと言うと、僕が知っていたメジャーブランドの商品だけでなく、地元の各ブランドまでもがみんな一升瓶ワインだったから。引っ越してきた頃は面白くて各社のワインを順番に買ってみたりしていた。でも、実際のところは一升瓶ワインには外国産のワインが混ぜられていることがある。一升瓶ワインでも高めのものを買わないと100%山梨産ではなかったりするので注意が必要。なぜ注意かと言うと、やはり飲んでみると100%山梨産の方が美味しいと思うから。ワインに振動は禁物というから、外国から長旅でやってきたワインよりも山梨の地でじっと動かなかったワインのほうが良いのかもしれない。とすれば、一升瓶のワインは山梨に来て飲むべきものか。いやいや、好きなように飲めるのが良いところ。