イチモンジチョウ

こいつは本当に蜜を吸っているのだろうか、と思うほど落ち着かない動きをする。花の前でカメラを持って待っていると、ひらひらと他の蝶とは少し違った飛行ラインを描いて現れる。よし来たな、とカメラを向けると、ピントが合うかどうかの頃には飛んでしまう。まあ、蝶なんてこいつに限らずどれでも似たようなものだが。
関心を持って遠くから眺めていただけだったのが、少しずつ距離が縮まり、やがて会話が弾むようになり、もしかして、と思った頃にはどこかへ行ってしまう。
若い頃にはそんなことが何度もあった。