県庁の電波塔

夕方、打ち合わせがあって県庁に行った。昼頃から降り始めた雨が強くなり、駐車場に着いた車から降りることを少しためらわせた。「降っているなあ」と思いながら、フロントガラス越しに見上げた空にこの鉄塔があった。雨雲と鉄塔はどちらもグレーのモノトーンで、ガラスに当たる雨だれに歪みながら同系色の雲にところどころが滲んでいた。時々行ったり来たりするワイパーがガラスの雨を掃き取ると、鉄塔の姿はくっきりと見えて、そこに傘のような形の丸いアンテナがいくつか付いていることがわかる。朝顔の花のようでもある。だとすれば今が満開だ。ひとつも蕾が無い。何だろう、防災無線のアンテナだろうか。県庁は時々来る場所であるのに、こうやって見上げたことも無く、珍しくこんなものが気になった。雨降りのときは、そんなふうにいつもと違ったものが見えることがある。