押し寄せる夏の草

閉じられて久しい門にクズの蔓やその他の夏の草が絡まっている。パッと見にはそこに門があるかどうかも判らないほどだ。夏の草は強い。トラのロープで縛って通せんぼをしているが、そもそも夏草がこのぐらい茂っていると通る気はしないものだ。
自分に例えて考えてみると、かつて興味を持っていたことや取り組んでいたことに「忙しいから」みたいな言い訳をつけてロープをかけて封印してしまっているものがあるな、と気付く。それが夏草のような記憶の霞に覆われていて、なかなか見当たらない。何かのきっかけで不意に思い出したとしても、夏草を掻き分けて入って行くほどの気持ちが起こらない。そして「また今度」というような新たな言い訳をつけてやり過ごしてしまうのだ。
そういうことについて、あえて分け入っていくことが出来る人が立派な人なのかというと、どうもそうではないようだ。それは大掃除の際に、目に付いたもの一つ一つに懐旧を感じ、時には昔話まで始めてしまうようなものだろう。僕はいつもこんな調子だから大掃除の能率が上がらない。でもそんな日の夜は気分が悪くない。そろそろ衣替えをしなければ。