ツタ

この時期の林の中、道にツタの葉が落ちているととても目立つ。風が吹いているとひらひらと舞ってくる。真っ赤な色で、光沢があって、大きくて、形が恐竜の足跡みたいで、秋の紅葉の代表格の風情がある。
でもなんだかその素性を考えると好きになれなくて、紅葉の美しさがおどろおどろしさにすら感じられてしまう。自分で立っている木に巻きついて高くまで登り、幹を育てることは無く養分は葉に集中させる。そして秋になると、周囲で最も派手な紅い色に光って衆目を集める。宿主になった木の紅葉が大したことないと、更に落差が際立つ。それでも、その紅葉の美しさ具合だけを見て優劣を決められてしまうこともある。それも一つの評価だという人がいるかもしれないが、少なくとも自分はそのような愚かな評価はしたくない。
紅葉ぐらいでそんな大げさな、と言われそうだが、もしもこれが人のことだと思えば同感する人は少なく無いはず。