冬枯れの林を透かし

コナラにクヌギが混じる雑木林。冬枯れの隙間に夕暮れた甲府盆地とその南の御坂山地が見える。御坂山地の稜線をたどって、写真の中央や右の雑木林が一番込み合ったところに白い富士山が見えるのだが、空に混じってわかりづらい。実際の景色でもそうだ。
目の前に何も無い状態で見るととても目立って見える富士山だが、雑木林のスリットを透かしてみると存在すら見逃してしまう。人を見るときにも、自分の目の前に雑木林のスリットに相当するものがあるかどうか気をつけなければならない。噂であったり、見た目から来る先入観のようなものは、概ねスリットになりかねない。そして同様に、自分を見ている誰かの目と自分との間にスリットがあると、誤解のある見方をされてしまうことになる。ときに、意図して誰かの前にスリットを用意するような第三者もいることを心しておかなければならない。
自分の眼力を過信しているような人や、自分の前にスリットがあるなどと思ってもみないような素直な人は、おそらく悪意のスリットが巧みに用意されているとしても、自分の見た目をそのままに信じ込んでしまい、人を見誤ってしまう。結局、どちらにとっても不幸なことであり、場合によってはその人の人生を変えてしまう事態かもしれない。そして悪意の人だけが得をする。これは良くない。