配線

電気のメーターが四つも並び、くねくねと配管が曲げられて壁に貼り付けられている。壁と同じ塗料が塗られてしまっているのでよく見ないと分からないのだが、配管に入っていない裸の配線も見られる。上向きで切り取られた配管もあるし、ボックスの蓋もゆがんで隙間が開いている。雨水が入ってショートしないか心配になる。
こういう景色は意外と街中によく見られる。歴史的な建造物とか戦前の建物とかではない。昭和40〜50年代ぐらいに建てられたような、あるいはその後の時代に突貫で建てられたような雑居ビル的なところに見られる景色だと思う。
我が家でも、引越しの際にとりあえず置いた場所がそのままその家具の居場所になってしまったようなところもあるし、あとできちんとやり直すからと思いながら、とりあえず配線したっきりそのままというようなものもある。引越し前にとりあえずでいたものが十年以上そのままで、引越しによってとりあえずが終了したものもあった。
こんな配線を見ると、とりあえずがそのままになるのは僕だけじゃないという、どこかちょっとした安堵の気持ちが湧いてくるが、それはあんまりプラス方向のことじゃないだろう。