クロタケ

この竹の幹というのか竿というのか、真ん中の太い軸は、黒い色をしている。若いうちは緑色、やがて黄色を経て黒くなるようだ。その黒さはまるで墨を塗ったようなきちんとした黒なので、風景が引き締まって見える。
普段の服装に見慣れていた女子が喪服を着たときにはっとさせられるような、そういうような効果と似たものだろう。映画「魔女の宅急便」の中で、おソノさんが「黒は女を美しく見せるのよ」というようなセリフを言っていた。
そう言えば30年も前の頃、僕は、カメラは黒いボディの方がカッコイイと思っていた。プロが持っているカメラは大抵がブラックボディで、しかもモータードライブ付だった。カタログでもブラックボディを写したカッコイイ写真が掲載されていた。でも僕は白ボディ(シルバー)を買ってしまった。なぜかと言うと、当時のカメラはブラックボディが4千円ぐらい高い値段設定だったからだ。僕がカッコイイと思っていたのは本当に黒いボディだったのか、それとも4千円という値段差だったのか。追求するのはやめておこう。