老朽化

僕が物心ついてからは世の中の景色が目まぐるしく変わって行った。半年前に通った道を通ると、知らない店や建物がたくさん出来ていた。ときにはその道が広くなっていたり、無くなっているようなこともあった。森だったところが数年後には団地になり、薄暗い酒屋はセブンイレブンに、原っぱにファミレスや大型ドラッグストアが出来た。横断歩道は歩道橋に変わり、コンクリートの塊から時刻表と地名がついた長い棒が生えただけのバス停は、蛍光灯が仕込まれた時刻表つきの豪華なものになり屋根もついた。とにかくあちこちにたくさん建物が出来た。道路も出来たし、橋も架かった。
最近の20年ぐらいは、あまり世の中の景色が変わらなくなった。新しいものがあまり造られなくなった。いろいろと長持ちさせる世の中になった。でも、さすがに老朽化が進んでいるものもある。これから先は世の中が老朽化していく変化を見ながら過ぎていくなんていうのは寂しいな。50年過ぎた僕の体もところどころ老朽化してきた。