新しい塔

甲府の街中に新しい塔ができた。目の前を通り過ぎたが、まだ中に入ったことは無い。ちょっとした休憩スペースから宝石博物館まであるらしい。
この日は、この塔を通り過ぎて、百貨店の大きな本屋さんに行った。amazonで買うのも悪くないが、解説書などは品揃えの良い本屋さんで所々立ち読みしてから選ぶのも悪くない。それで1冊選んで買ってきた。じっくり選んだだけあって、分かりやすい解説本だ。
こんな選び方して新聞を買う土地がある。十数年前に皆既日食とヘールボップ彗星を見に行った国、モンゴルの首都ウランバートルでのことだ。市場へ行ったときのこと。日本に比べると品数も種類もあまりにも少ない市場だったが、活気はとてもあった。ベニヤ板が大活躍で、野菜がそこに並べられているだけではなく、肉屋さんではベニヤ板の上に肉の塊がじかに置かれていた。ややこちら向きに斜めに傾いたベニヤ板には、肉塊から通路に向けて血の流れた筋があった。肉も種類があるわけではなく、羊肉オンリーというところ。野菜の種類も数種類だし、果物は見た覚えがほとんど無いほど。そんな市場でひときわ人だかりが出来ていたのが新聞屋さんだった。日本であれば、例えば駅の新聞スタンドに人だかりが出来ることはない。新聞が必要な人は、さっと引き抜いて料金の硬貨を置いて行ってしまう。でもあのウランバートルの市場では、人だかりのメンバーが、立てかけけたベニヤ板に貼り付けられた新聞を立ち読みしているのだ。よく見れば、日本の新聞よりもずいぶん少ないページ数の新聞の、全てのページが貼られているようだ。これでは売っている意味が無いではないか、と心配する僕をよそに、しばらく熱心に立ち読みした人が、読み終えたはずの新聞を買っていくのだ。
僕がモンゴルに行った頃、日本ではちょうど大相撲のなんとか場所が開催中だった。モンゴルの新聞では、日本で活躍中の旭鷲山のことが大きな紙面を割かれ報道されていた。もうずいぶん前のことになる。