ススキの穂

こうやって拡大してみると、籾のようなものがあって、イネ科の植物だということが改めて分かる。子供の頃はススキの葉で手や足に細かい傷がよく出来たものだ。近所の空き地がススキに覆われていて、夏から秋はいろいろな虫が獲れたし、冬には葉や茎を使っていろいろと遊んだ。
もともと誰かの畑だったようなその場所は、主がいなくなって区画された分譲地になった。高度経済成長時代の千葉郊外は、東京のベッドタウンとも言われてどんどん人口が増えていた。しかし、どういう具合か早く家が建つ区画がある一方、なかなか家が建たない場所もあり、それが草地になり、やがてススキ野原になっていた。中には、基礎だけが打たれて放置されていた区画もあった。
そんな場所も、僕が中学生になった頃には土地流通も上手く行くようになったのか、たちまち家だらけになってしまった。一方、中学生になった僕は遊び方もすっかり変化し、もはやススキ野原は必要なくなっていた。