笠雲

6日の朝、富士山はこのような笠雲を被っていた。でも、昨日も今日も晴れだった。
僕が子供の頃には、何となく科学全能主義的な考え方が主流的で、昔のことをいろいろ馬鹿にするかのような風潮があった。21世紀の未来図には、何層にも重なったような高速道路を走る電気自動車を始めとして、物質文明の極致のような都市風景が描かれていた。近頃はそれがずいぶん変わってきた。自然エネルギーで営む生活の中に、川で魚をつかんだり網を持って昆虫を追いかけているような子供たちの姿が描かれる。無農薬合鴨農法なんていうものももてはやされる。昔のことは長い経験から得られた合理的なものであることが少なく無くて、それは簡単に馬鹿に出来るものではない。でも、科学技術の進歩はあいかわらず目まぐるしい速さで我々の生活を便利にして行く。
さて、天気予報に関しては、笠雲を見て云々のような観天望気よりも数値予報の方が信用できる感じだ。でも、笠雲を見ては天気の悪化を憂い、夕焼けを見ては明日の晴れを期待してしまうところもある。結局僕の場合は、とても生活のすべてをどっちかに傾けることは無理なことで、都合良く科学技術と懐古主義の間を行ったり来たりして過ごす。