ホトケノザ

陽だまりのコンクリートの継ぎ目のような場所に、ホトケノザが生えていた。こいつらが目立つようになると、いよいよ暖かくなる気がする。なるほど今日の日中は四月のような暖かさになった。それとも暖かくなったからこいつらに目が行ったのだろうか。
甲府に来て最初の春のことだったと思う。今から15年前、僕は何の疑いも抱かずに春の七草ホトケノザと思い込み、これを食べてしまった。今思えば毒草ではなくて良かった。どうやって食べてよいか分からなかったが、そんなときには天ぷらだと思い、衣をつけて揚げてみた。軸が少し筋っぽかった。葉っぱの味のせいなのだろうか、なんだか油っぽさが増したような味だった。いっしょに採ってきて揚げてみたハコベの方が美味しかった。