郵便ポスト

赤いポストは道端にあるものだと思っていた。田舎ではいろいろなものを売っている万屋(よろずや)の前にあるのをよく見かける。たまには民家の前に立っていることもある。それがこのポストの場合は民家の庭にある。手紙やはがきを出す人はこの家の敷地内の、それも庭先まで歩いて入る必要がある。
ポストを見ると、1日に1回の集荷がされているようだ。民家の方はしばらく前から空き家の様子だ。もしもこの家に人が住んでいて、年寄りが縁側で日向ぼっこをしていたらどうだろう。

葉書を持ってきた人が「こんにちは」と言うと、縁側のおばあちゃんが「こんにちは、いいお天気だね」、葉書の人は「間に合ったかな」「郵便屋さんならまだ来てないよ」「そう、良かった」「せっかくだからお茶でも飲んで行けや、だんごもあるよ」「おっ、そりゃいいや」、やがて郵便屋さんが到着「こんにちは」、おばあちゃん「今日も時間ぴったりだね」「ハハハ、こんなに見られてちゃ遅れるわけにいかないでしょ」、葉書の人は「オレのは特急便でよろしく」、郵便屋さんは「それじゃ速達分の切手を貼ってくださいな」「やー、しっかりしてらぁ。普通便でイイです」「はい、普通郵便で確実にお届けします」、そこでおばあちゃんは「郵便屋さん、団子食ってけ」「ありがとう、でものんびりしてると次が遅れちゃうので」「まじめだねぇ、それじゃ口にくわえていきな」
実は今日、仕事で郵便局にいく用事があった。