山間の朝

小淵沢付近の冷え込んだ朝は、良く晴れて星がきれいに見えていた夜の後にやってくる。
今から50年前の3月10日(おととい)は、富士山レーダーが観測を開始した日だという。10年ぐらい前、プラネタリウムの番組制作のために天気予報の歴史についていろいろ調べていた時期があったが、そのときに富士山レーダーに関するいろいろな本を読んだのだが、その中に新田次郎作「富士山頂」もあった。
新潮文庫での新田次郎作品は背表紙が黄色で、僕が小中学生の頃には本屋さんの棚をずらっと70〜80センチも占めていた。中には同じ本が何冊もあって棚2段に渡って並んでいるような店もあった。当時はそれほど人気作家だったわけだが、10年前に本を買いに行ったらどこにも売って無くて困った。同じ頃の人気作家と言えば松本清張がいた。こちらは棚幅1メートル級の売れっ子だった。松本清張は今でも本屋に行けば売っているが、新田次郎はすっかり無くなった。他にも、北杜夫とか江戸川乱歩とか、昔のおなじみの名前は棚から消えてしまった。