都市河川と排水管

この排水管の繋がっている先が単なる雨樋なのか、生活排水なのかは分からない。
もう30年も前のことになるが、都市河川の調査を手伝ったことがある。対象は、東京の多摩川のある支流、世田谷区あたりを流れる川だ。その川は都市河川の例に漏れずコンクリート護岸になっていた。そこを河岸に降りて岸から反対岸にゲージになる紐を張る。そこには50?毎に印がつけられているのだが、それぞれの印の場所で、くるくる回る器具を水中に入れて流速を計測する。一方、水をすくって電気伝導度とphを測る。これを24時間、1時間ごとに繰り返すのだ。これは学科の先輩の卒論を手伝った調査だったのだが、驚くほど疲れた。当日は小雨が降っており、とにかくまるで眠れない中、乗用車を基地にしての作業だった。最初のうちは面白い気分もあって、あれやこれやと先輩に質問していたが、明け方にはすっかり疲れ切って無言で身体だけを動かしていた。そのときのデータでは、夜の10時頃が最も汚れていて流量も多いことが分かった。夕食の洗い水や風呂のお湯だろうと思う。翌日の昼、調査を終えて帰る小田急電車の中、徹夜でぼんやりしていつつも、都市河川の臭いがこびりついていないかと周囲の視線が気になった。