突風

午後3時半頃、ザザーと木が揺れる音が聞こえた。妻が慌ててベランダに出た。景色を見ると、数百メートル先の野球場を囲んで生えているモミの木が風に強くあおられて鳴る音だとわかった。あちこちの木が激しく揺られていた。妻は手早く洗濯物を取り込んでいた。やがてここにも激しい風が吹き込み、台所で干されている飲み干したビールの缶などが飛ばされて音を立てた。僕もあわてて窓を閉めて回った。部屋に散らばった紙などをまとめていると、洗濯物を取り込んだ妻が「いろんなものが風で飛ばされて空を飛んでいるよ」と言った。興味を持ってベランダに出ると、遠くの方が茶色くなっているのが見えた。どうやら畑の土が舞い上がっているようだ。近くでも見えた。写真は小学校のグランドの土が舞い上がった様子だろう。その向こうの山の上に僕の職場が見える。写真を撮っている間も、ほかのアパートのベランダから布団が飛ばされて落ちている様子が見えたりした。部屋に戻って落ち着いたところでハアハア言いながら次女が学校から帰ってきた。そしてすぐに、友達と一緒に体験した強風の中の下校風景を楽しそうに聞かせてくれた。しばらく強風は続き、4時頃になって雨が降り出した。風と雨の時間は風上側の窓を閉めていたので部屋の中が蒸し暑くなった。やがて雨が上がり風も緩んだので窓を開けてみた。ひんやりした風が部屋に入り込み、空気が入れ替わった。涼しかった。