透けて見える稜線

葉が茂る季節には木々のてっぺんを結んだラインが稜線になるのだが、葉が落ちて木々が裸になってしまう晩秋から初春にかけては本当の稜線が透けて見えてしまう。「話を盛る」という言い方があるが、これは本来の事象に対してそれが聞き手において余分に大きく感じられるように話すような言い方のことだ。ただし、話を盛る人というのは概ねそれが癖になっているものなので、話をそのまま理解するのではなく何割か割り引いて考えておくとだいたい本当の大きさを当てることができる。それはまるで、あらかじめ割り引いて売るために高めの値段をつけていることを買い手側に分かられてしまっている店のようなものだ。