干される稲穂

今年は冷夏であったがコメの作柄は決して悪くないのだそうだ。だいたい、豊作のときの米は味も良いから、今年の米もまずまずの味なのだろう。一時は、外米の緊急輸入に及んだコメ不足の頃を思い出したが、今ではそれも余計な心配だった。というか、過大な期待だった。
あの時は細川内閣だった。総理大臣が記者会見してタイ米の緊急輸入を宣言していた。思い出すと出たがりな総理大臣だったなぁという覚えがある。僕はタイ米の輸入ということになった時、とても期待した。それまでは手に入らなかったからだ。タイ米を買ったらいろいろなピラフを作ろうと思った。そして輸入が始まった。でも、近所の米屋さんでは、何とタイ米を日本の米に混ぜて売っていたのだ。これには呆れた。だって、炊き上がりが違う米を混ぜているのだから不味くなってしまう。別の米屋でもスーパーでも混ぜていた。なんでこんなバカなことをしてしまうのだろうと思った。だから、あちこちの米屋を訪ねて混ぜていない製品を探した。ようやく別な袋で売っていた米屋を見つけた。その店は混ぜてこそないが日本の米だけでは売ってくれなくて、国産10キロについてタイ米1キロを買わなければならなかった。もちろん僕には何の問題も無い。僕はタイ米を余分に買った。そしていろいろなピラフを作って楽しんだ。ホッケの切り身を使ったピラフが案外美味しかったのを覚えている。