低い雲

今日も雨降り。
遅番勤務の今日、食事のために夕方に外に出た。今流行りのから揚げの店に行った。昼間と違って空いている店内で僕はやや奥の方の席に座り一番普通の定食を注文したのだが、その後に80歳を越えたような男女3人組が入ってきて二つほど離れたテーブルに座った。店内は空いていて静かなので離れた席でも注文の声がはっきりと聞こえた。メニューに名物メニューと書かれている20個ものから揚げが積み上げられた定食と単品でライス2つと味噌汁2つが注文された。名物というのは、多くの人からの称賛を得るとか有名人からのお墨付きを得てそれがやがて有名になるという物で、そう言うものが無いのにもかかわらず店が自分で名乗る種類のものでは無いと思うが、そういうことも今の時代にあっては間違いを承知で積極的にアピールしていくものなのかなと、そのメニューを見て感じた。さて、話が逸れたが元に戻すと、から揚げ4個の普通の定食を啄む僕の前を高さ20センチ以上もから揚げを積み上げた皿を注意深く運んでいくフロア係の人があって、あの老人3人の席に運ばれた。単純に割り算すれば、3人のうち2人が7個で1人が6個食べることになる。僕の場合は4個で十分なのに、凄く旺盛な食欲と凄く頑丈な胃袋を持っている老人たちなのだろう。それはまさに興味津々であったのだが、休憩時間が終わるまでに職場に戻らなければならない立場の僕は、から揚げを貪り食う老人たちの横を通り過ぎ会計をして、後ろ髪引かれる思いで店を出た。老人たちが残さず食べられたのかどうかを見届けたかった。