柚子の大馬鹿十八年

20221107204657

「桃栗三年、柿八年、柚子の大馬鹿十八年」という言葉を聞いたことがある。それを聞いたきっかけは、僕が子供の頃のテレビコマーシャルにある。
僕の記憶が間違いでなければ、「桃栗三年柿八年、舟和の和菓子は七十年」と女性が歌う軽快なCMソングがあった。その意味が分からなかったので、当時そのぐらいの年齢だったお婆ちゃんに尋ねたところ、植えてから実が生るまでの年月だと教えてくれた。で、本当は柿の次には柚子の大馬鹿が来るというのだったのだが、柚子が70年はだいぶん行き過ぎで、柚子はたしか17年じゃったか‥いや18年じゃったかのお、みたいな答えだったように思う。実際、栽培には根気が必要な作物らしい。
歌詞の本来の意味についてはこれでそこそこ解決したのだが、では何故18年の柚子が大馬鹿とされているのかは、当時まだ幼かった僕にとって謎として記憶の奥の方にうっすらと残った。そして、それから何年も後のこと、その歌詞のそれぞれの果実の年数は人の理解度に例えられているという意味の文章に出会った。つまり、人に教え込めば3年からせいぜい8年もあれば覚えてくれるものだが中には18年もかかる大馬鹿もいるということの例えだという。それは僕のうっすらとした謎の記憶を蘇らせ、ある意味納得させ、またある意味でかえって不満を募らせた。
ところで、(株)舟和本店を調べてみたら、僕が子供の頃に創業70年を迎えているので前出のCMソングの歌詞は多分正解。今年はなんと120年。