カリン

カリンの実がだいぶん熟してきた。まだ緑色の実も所々に混ざるがほとんどは黄色に色付いた。それにしても大きな実が生るものだなあといつも思っていたが、それが意外にも細い枝に、しかも幾つも生っているのには感心させられる。果物というと概ね回転体的な形をしている印象だが、カリンの実はデコボコと不規則な形をしている。そのせいか静物画の対象によく使われる。香りが良くて長持ちするから、きっと描き手も良い気分だろう。僕は、何年か前に職場で頂いた実を後部座席の車の床に暫くの間置きっぱなしにしていたこともある。そうすると、ドアを開ける度にカリンの香りがする。どぎつい芳香剤の匂いよりもずっと良かった。カリン酒を作ったこともある。適当な大きさに切ったカリンの実を容器に入れ、そこに氷砂糖と35度のホワイトリカーを注いで半年ぐらいで出来上がり。色付いたカリン酒の瓶を開けると、香りがフワッと広がる。ただ、飲むのは主に冬で、喉に良いという。つまり、カリンが熟す時期はカリン酒の飲み頃の時期でもあるわけで。