巣鴨で、靴と饅頭

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懐かしい旧友と会う約束があって久しぶりに東京へ行った。せっかくなので、壊れた靴の修理を依頼しようと思って、巣鴨へ行った。

去年の夏頃だったか、雨の日に靴底側から雨がしみ込んできたことがあって、帰ってから確認すると靴底がパックリと割れていた。もう20年ほど履いたチロリアンシューズだったけど、ほとんど車の通勤だったしこれで長距離歩くこともなかったので、こいつのソール交換は初めてだった。

店に着いて修理を頼むと、お店の人からは僕の話を聞くのもそこそこに靴の履き方やメンテナンスについて矢継ぎ早にお説教があり、挙句、僕の靴の裏を見ると「この靴はいっちゃってますね」と言われた。「と言いますと?」と返すと、「いっちゃってます、修理不能ということです」とのこと。いっちゃってるというのは"逝っちゃってる"ということのようだ。ミッドソールも割れているのが理由だそう。ちょっと戸惑っていると、「それにこの辺の皮も痛みががひどいし、仮にどこかに直してくれる店があったとしても買った方が安いでしょう」と追い打ちされてしまった。

お店の棚には新品の靴がずらっと並んでいる。きっとここで新しい靴を買って帰った方が合理的なのだろうという気持ちもよぎったが、がっかりした中になんだか悔しい気持ちも出て来て、僕は並んだ靴を見ることすらなく、逝ってしまったボロ靴を再び袋に入れて持ち帰った。

お店の人からすればきっと当たり前の対応だろう。修理不能の靴を持ち込むような知識の乏しい愚かな客も少なくないはずだし、いちいち対応するのは大変だろう。そんなことを考えつつとぼとぼと歩いた。靴など履いて歩いていれば大して重さ感じないものだが、リュックにいれて背負ってみれば、ビブラムソールのついた皮の厚い靴は案外重たくてかさばる。

足は、巣鴨の名物「おばあさんの銀座」と言われる、とげぬき地蔵の参道に向いた。日曜日とあって商店街には多くの人が行き交っていた。僕は、豆大福と塩大福をお土産に買って、リュックの中の靴の上に重ねた。

その後は渋谷で旧友と会い、昼飲みして楽しい午後だった。これが主な目的だったわけだから大成功だ。

帰り道、中央本線は強風による倒木のため甲府の先が通行止め。乗った特急は所々で長い停車となり、1時間以上も遅れた。なんだかいろいろ思い出深い日になった。