中央自動車道を甲府に向かって走る夕方、助手席でぼんやりとしていた。住宅地への騒音を防ぐための背の高い遮音壁は、その効果の副作用として走る車の窓から見えるはずの景色を意地悪に遮っていた。所々その壁が切れるところでは向う側の景色がサッと見えるのだが、その時を目掛けるかのように、低くなった太陽の光が鋭く差し込んできた。そんな壁と景色の繰り返しの中、富士山のシルエットに太陽が差し掛かっていることに気づいた。折角なのでスマホのカメラを用意してみたが、なかなかうまくタイミングがつかめないまま時間が過ぎて行った。しかし、運良く道がカーブして富士山が前側に見えるようになった、ちょうどそのときに太陽はまさに富士山の頂に差し掛かり、ダイヤモンド富士となっていた。写真を撮ったその直後、車が前方に向かって快走するせいもあって太陽の輝きは富士山の向うに隠れてしまい、さっきまでの鋭い光は柔らかな間接照明のようになってしまった。