カワウのコロニー 2

笛吹川濁川、荒川の合流地点付近にあるカワウのねぐら。大型の黒い鳥が群れを成している様子は怖い様でもある。ヒッチコックの映画「鳥」の怖さを思い出させてくれる。
ほとんどの巣は木のてっぺん近くに作られている。観察していると、カワウたちはなんとなく集団行動している様子がわかる。どれかが飛び立つと他も従って飛び立ちコロニーは留守になる。何羽か飛ばずに居残っている場合もあるが、相談の結果留守番役になったというわけでもないだろう。飛んでいった者たちは、一斉にカーブや上昇下降をしながら川面に降りる。みんな一斉に降りる。
絶滅が心配されていたカワウが救われたこと、水質汚染が改善したこと、これは喜ばしいことだ。しかし、カワウの数が戻ってきたことで、人間とカワウとの軋轢も戻って来てしまっている。枝を折る害、糞害や、養殖などの水産業への被害がある。もしも自分の家のすぐ隣にカワウのコロニーが出来上がってしまったらさぞかし嫌なことだろう。庭にもやってくるだろうし、洗濯物の上や干している布団の上に止まって糞をされたらたまらない。お金持ちにとっては、高価な庭木を折られたり、池の錦鯉を食べられたりすると頭にくるだろう。そしてそもそもきっと臭いのだろう。結局、増えた結果カワウは人間に迷惑をかけ、人間はカワウを駆除している。

糞には多量の栄養分が含まれている。その元は川に棲む魚だ。カワウは川に潜って魚を捕り食べる。そしてねぐらに戻って糞をする。これを繰り返すと、ねぐらの周囲は糞で真っ白、大変なことになる。でもこれは陸地から川に流出した栄養分を再び陸に戻しているという行為とも受け取れる。もちろん、カワウはそんな気持ちを持って食べたり出したりしているわけでは無いだろうが。これは自然の状態では良い循環だが、人間の生息域とカワウの生息域が重なってしまったので、どちらも相手の干渉を受けることになった。それでお互いがどうしても邪魔になる。