元水車小屋

だいぶん古びて痛みが激しい小さな小屋が、幅1メートルほどの水路の畔に建っていた。市の文化財を説明するパネルには、元々水車小屋だったことが書かれている。もうすでに水車は無くなっているが、かつてここでは水路の水が水車を回し、粉ひきでも行われていたのだろう。
水が低いところへ向かって流れる位置エネルギーを、水車の回転という運動エネルギーに変え、再び粉ひきの杵を持ち上げる位置エネルギーに変換するというのが水車だろうか。これによく似たもので、水車の回転運動のエネルギーを電気エネルギーに変換する小水力発電というのが近頃注目されている。
水力発電は、台風などで水路の水量が激増するときの崩壊のリスクや、渇水の際に発電ができないという不安定さなどに問題を抱えているが、ここ日本ではそのような物理的問題よりも、水利権が障害となってそもそも設置ができないという大きな問題があるようだ。だから、たまに設置のニュースがあっても、多くは役所絡みの設置であることも特徴だ。