ナンジャモンジャの木

蛍宿峠(おうしゅくとうげ)には「ナンジャモンジャの木」という滑稽な名前の木がある。周囲の木に比べると、一際太いなかなかの巨木だ。霧が立ち込めていたので、一層威厳を感じさせた。変な名前の由来は「なんだか奇妙なもの」という意味から来ているようだ。「こりゃナンジャ?いったいどんなモンジャ?」ってなところだろう。
どういうところが奇妙かと言うと、普通のヒノキの場合は葉の裏側に白い筋が付いているところが、ナンジャモンジャの木の場合はそれが無く、まるでどちらも表面のようだということ。そこから、この木の種類は、牧野富太郎によって「リョウメンヒノキ」と名づけられたということだ。リョウメンヒノキは四尾連湖(しびれこ)にもある。

木の周囲に落ちていた葉を撮影した。どうだろう。僕には、あまりよく分からない。緑の葉は高いところにあって見ることが出来ない。
今では林道が整備され車で簡単に来ることができるが、昔は山道を歩いて一日がかりで越えていただろう。旅人が峠の木陰で腰を下ろし、握り飯の包みを開いてホッとすると、見上げたところに見慣れない葉っぱがぶら下がっていた。旅人が峠の向こう側に着くと、その土産話の中に峠で見た不思議な葉の話が加わったり、時にはその葉を持ち帰る人もいたことだろう。話を聞いた人の声がナンジャ、モンジャ。