耐震補強

鉄骨造の場合、(1)鉄骨のメンバーが細いとか、(2)数が少ないとか、(3)組み方が悪いとか、(4)そもそも基礎が悪いとかいったことで、十分な耐震強度を持っていない場合がある。(5)経年による錆や変形も同様だ。あるいは、(6)法律が変わったために耐震強度不足になることもある。建設した頃には問題ない設計だったのに、法律が厳しくなったために、その新しい基準に照らすと強度不足になるというもの。強度不足となった建造物の補強対策には、写真のように筋交い状の鉄骨を追加して強度不足を補う(A)補強工事が施される場合が多い。
これを、一般論的に人に例えるとどうなるだろう。鉄骨の1本1本は人、建物は会社などの組織に例え、上のそれぞれの番号に当てはめて考えてみる。(1)能力不足、(2)人数不足、(3)不仲・誤解・人事ミス、(4)組織的破綻・財務破綻、(5)高齢化・病気・組織硬直化、(6)法律・給与・業界・市場などの変化・訴訟など、というようになるだろうか。
では、(A)は何に例えられようか。もしもこれを人事異動に例えるとすれば、それは場当たり的過ぎであろう。むしろ一層の強度不足に陥る危険すらある。大手企業などでは、(A)の解として社外取締役の導入例が増えているようだ。中小企業では、同業他社や異業種との合併や業務提携に未来を託す例がある。プロ野球やJリーグでは、監督交代や強力な外国人選手獲得による化学変化が事態を好転させることがよくある。サッカーの日本代表チームでは、練習試合で負け込んだ南アフリカW杯の直前に、大幅に先発メンバーを入れ替える荒療治もあった。所謂リストラだ。
金曜日は、耐震補強の鉄骨を見てこんなことを考えながら歩いた、ぽかぽか陽気の日だった。