甲府ハイランドユースホステル

先日紹介した大正池の正面にあるこのユースホステルは、数年前に閉館してしまったようだ。
今から三十数年前、僕は友人二人と一緒に中学の卒業記念として、自転車で旅行に出かけた。千葉を出て最初の一泊は伊豆の修善寺にあるユースホステルだった。これはかなり無謀な計画だったようで、到着は夜の22時頃になってしまった。そんなときでもやさしく迎えてくれるのがユースホステルの良いところだったが、僕は完全に疲れ果て、そのままさっさと寝てしまった。
二日目はその反省から宿を変更することにし、富士宮ユースホステルに予約を入れた。上り坂ばかりではあったが、前日の三分の一程度の距離だったこともあり、ゆっくり出発してゆっくり走り、十分明るい時間に到着することが出来た。
そして3日目。朝霧高原を走り、まだ出来たてな感じだった甲府精進湖有料道路を通って甲府盆地へ行った。走り始めた頃はまだ曇り空だったが、本栖湖付近では雨になり、雨に煙る精進湖を横目で見ながら、激しい雨が降る二つの峠を越えたのだった。甲府の街中では道が分からなくなり、岡島のあたり千代田湖への道を尋ねたら、花屋のおばさんから「やめなさい、こんな雨の中をそんな遠くへ行くなんて」と怒られ、道を教えてもらえなかったのを覚えている。
千代田湖への坂道で雨は小降りになった。つらかったのは千代田湖から先がまだまだ長い上り坂だったことだ。こうしてようやく到着した甲府ハイランドユースホステルでは、フロントバッグの中の服までが全て濡れてしまい、ペアレントさんのご好意でストーブの囲いに服をかけて乾かさせてもらった。僕らはここで2泊した。