鹿よけ

八ヶ岳山麓の景色は変わった。森と里を区切るところに柵が張り巡らされている。写真の左下に畑が広がっている。右側は森と別荘地で、その境目に畑を潤す水路がある。今まではそれだけだったが、水路に沿って柵ができた。増えすぎた鹿から作物を守るためのものだ。
昨日の夕方、鹿を見た。別荘地の中にまで入り込んでいた。それも1頭ではなく、ざっと20頭ぐらいの数だった。カメラを持っていなかったので残念ながら撮影ができなかった。でもそれで初めて気付いた。自分の足元のすぐそばに糞がたくさん転がっていたのだ。柵に気付いたのもそのすぐ後だった。
鹿は数を増やした。鹿は増えただけでなく、人が鹿を殺さなくなったので警戒しなくなった。
・人は生活の糧として農作をする。
・それを野生動物に食われてしまえば、人は糧を失うことになる。
・しかし、糧を奪う鹿を仕留めれば悪者扱いされがちな世相がある。
・農家はやむを得ず高額な借金をして柵を張り巡らす。
・電流など通せば更に日々のコストがかかってしまう。
・かと言ってそのコストを作物に上乗せすれば価格競争に負けてしまう。
・農家は疲弊する。
・離農者がでる。高齢も手伝って廃業する人も出る。
・そんな苦しい農業には後継者が出ない。
・そして里は荒れる。
・農業は衰退する。
TPPが農業を衰退させるとか言っているけど、もっと別なこんなところにも農業衰退の原因になるヤバそうなものがある気がする。昨今、自然保護は強いプレッシャーを持っているから、看過無く過ごしたいと思っている年寄りの農家などは抗し難いだろう。都会の人は一方で自然保護を叫びもう一方で牧歌的な田園風景や生活にあこがれる。でもそれは案外相反することだったりする。