ヤブガラシ

つる植物のヤブガラシは、クズと同様に、草むらを覆い隠してしまう。そして、ヒメジョオンと同様に、別名に「貧乏」が付く。その名も「貧乏蔓(びんぼうかずら)」、僕はヤブカラシと覚えていたが、調べてみたらヤブガラシと、カに濁点が付くのが正しいようだ。
ところで、クズにはなぜ「貧乏」が付かないのだろう。秋の七草だからだろうか。敬意を表したということか。そういえば、クズの勢いが旺盛な頃には、ヤブガラシはその日陰で大人しくしている。まるでクズに敬意を表しているかのようでもある。そして、夏の盛りが過ぎ、クズの勢いが無くなってくると、ヤブガラシが替わって繁茂する。さしずめ、高貴な秋の七草から貧乏蔓への政権交替だ。
写真はヤブガラシの花にハチが寄って来たところ。蜂の種類は調べる気にならない。むしろ花に注目。なんとも貧相な花だ。見てくれなど一切気にせず、周囲の草むらを制覇するために伸び続ける。自立する茎などもいらない。自立している草の上に乗り上げれば済むからだ。この草に「貧乏」という言葉を付けたのは、なりふり構わないその様子に対する揶揄なのかもしれない。