母校の景色 4

生き残った機械
天体観測をしたくて地学部に入った僕は、顧問のK先生の影響で地質の面白さに目覚めて行った。写真は、その頃によく使っていた岩石プレパラートを作るための機械だ。
上の写真は岩石を薄切りするためのカッター。丸い円盤が刃で、その手前の溝には、もともと岩石を固定するバイスが付いていた。下にはたっぷりの水を入れる。上には透明アクリルのケースが被さる。スイッチを入れると、円盤が水を巻き上げながら激しい勢いで回転する。そして固定された岩石をレバーで動かしながらスライスするのだ。ここで厚めに切ってしまうと、あとの磨きの工程で大きなロスをするので、なるべく薄くスライスするように狙いをつける。泥岩などはスパスパ切れるが、花崗岩などは硬くて時間をかけた覚えがある。花崗岩の厚いスライスなど、ばかばかしくて磨く気になれないのだ。いつだったか、アクリルケースを被せる前にスイッチを入れられたことがあって、僕の顔と服に汚い水がいっぱいかかってしまったのを思い出した。たしかあのときスイッチを入れたのはFだったような気がする。
真ん中の機械は電動のろくろのようなもので、丸い鉄板が回転する。スライスした試料を今度はここで磨く。下の写真がその円盤部分だ。いろいろな物が載せられていて、しばらく使われていない様子が窺える。この機械の周りを2〜3人で囲んで、ときどき水を垂らしながら作業をする。世間話などしながらが良かった。でも、ペースを合わせていないといけない。供給する研磨砂を次第に細かい番手のものに変えるからだ。世間話に夢中になって作業がおろそかになると、左右の厚みが違ってしまうことがある。そうすると後々で修正が面倒になる。このろくろではカーボランダム(研磨砂)の1000番ぐらいまで磨いただろうか。その後は仕上げの作業になる。