森の夜の始まり

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暗くなってしまった山道は怖いものだ。湯村山の場合は舗装路なので足元は安全だが、暗いということが怖さを誘う。道にどっさり積もった落ち葉は、足を進めるごとにカサカサザクザクと音を立てる。木々の向こうに見える空はてっぺんがもう既に黒い。見通す先には僅かに夕焼けが残っているが、もはや照らしてくれるほどの明るさではない。茂みで不意に音がする。何かの動物がいたのだろうか。僕には見えないが動物側からは夜目が効いて見えているのかもしれない。今度は木の上の方で激しく音が聞こえた。そして、カラスが鳴く声がした。そろそろカラスがねぐらに帰ってきたのだろうか。カラスが揺らす木々の葉がこすれる音と鳴き声が次第に数を増やし、大きく不気味に夕闇に暮れた森に響いた。それが一層怖さを膨らませた。