放射線とエネルギーの科学

というパネル展を開催している。やるからには内容について詳しく知っていたい性分なので、夏ごろから原子のこと、原子核のこと、放射線のことについて、それこそ中学校理科一分野から始め、こつこつ勉強した。パネルのほとんどは借り物だが、2枚だけ独自に製作することになりこの勉強が役立った。でも更に勉強が必要になり、県衛生環境研究所にも行って教えてもらったこともある。おかげでテレビのキャスターやコメンテーターがへんなことを言ったりしてもある程度見破れるようになった。でも、知れば知るほど分からなくなるのは人体への影響についてだ。この点については、放射線を一気に大量に浴びると悪い影響があるということは一致しているようで、我々からしても広島長崎の原爆被害の例から容易に想像ができる。でも、弱めの放射線を長い間にわたって浴びてしまった場合についてはいろいろな資料を見てもほとんど書かれていない。結局、我々も来館者に尋ねられれば「わかりません」と答えるしかない。
不人気な題材で、これを目的に来館する人はごくわずかだ。来館した人もこの場所は横目にしながら通り過ぎることが多い。子どもには説明しようにも難しくて無理だ。でも、人気がある題材で客寄せを図るばかりではなく、こういうことも紹介していくのが公立博物館(科学館)の使命でもあると思う。
熱心に質問をしてくる人がいた。
座り込んで何時間も資料に読みふけっている人がいた。
放射線治療の体験談を話してくれた人がいた。
自宅の庭の土を袋に入れて持ってきた人がいた。
これじゃ分からないと不満を言う人がいた。
でも「わからない」ということを分かってくれた人がいた。
あと5日で展示期間が終わる。