イノシシの餌探し

1週間ほど前、愛宕山の遊歩道を歩いていたら道が掘り返されていた場所があった。きっとイノシシが掘った跡だろう。僕は残業したときに夜の駐車場をウロウロしていたイノシシ親子を何度も見たことがあるが、愛宕山にはイノシシのねぐらがいくつもあると愛宕山マイスターから聞いたことがある。
愛宕山マイスターとは僕が勝手に付けた愛称で、麓に住んでいて自然の家や科学館にも勤務経験のあるSさんのことだ。Sさんはいつも自分を鍛えていて、みんなが車で通うところを走って登って通勤する。しかも、道ではない。例えば僕が車で道を登っていると、いきなりバサッと藪の中から出てきて目の前を横切り、雑木林の中に消えていく。それこそイノシシのようだ。雪が積もった朝にそれを見たならば、イエティだと思ったかもしれない。今、Sさんは八ヶ岳勤務だから、雪の積もったヤッホーの丘をイエティのように疾走しているかもしれない。Sさんも、もう今月いっぱいでご定年だ。あのストイックさには頭が下がる。
Sさんは特に凄いが、愛宕山を歩いている人はSさん以外にもたくさんいる。健康のために歩いているおじいさんや走っているおじさんも少なく無い。ブドウ畑もあるし、新興住宅地もある。それでもイノシシは山奥ではなく愛宕山にいる。山奥にもいっぱいいるから溢れてきたのだろうか。それとも、人がイノシシを捕らなくなったから、イノシシにとっては山奥だろうが人里だろうが関係ないのだろうか。