金星、月、木星

この数日、縦位置構図の写真が続くが、今日の宵は西の空でこんな順に星が並んだ。上の明るい星が金星で梢の隙間に見えるのが木星、真ん中の明るいのは月。
金星というと、どうしても金星探査機「あかつき」に思いが行ってしまう。1月31日にJAXAが発表したペーパーの冒頭には、
「宇宙開発委員会・平成23年第2回調査部会では,軌道上OME試験噴射の結果,今後の軌道制御に際しては,OMEの使用を断念し,RCS(姿勢制御用1液スラスタ)を用いて金星周回軌道への再投入を目指す方針を報告した」とある。
OMEはメインエンジンのことだから予定の軌道投入の際に調子が悪かったメインエンジンは、その後もいろいろとやってみたけどダメだったということなのだろう。それで別のページには、
RCSによる軌道制御を有効に実施するために,不要となった酸化剤を投棄して探査機を軽量化する運用を実施した」とある。メインエンジンをあきらめ、そのために積まれている燃料を捨てるということだ。この投棄作業は昨年秋に実施された。
つまり、軌道制御用の出力の強いエンジンの使用はできないので、これをあきらめた。今度の金星周回軌道投入チャンスには姿勢制御用の噴射を使って行う。この姿勢制御噴射の力はとても弱いので、なんとか本体の重さを減らしたい。ということはメインエンジンの使用断念に伴っていらなくなった燃料を捨てれば良い。これで少し楽になった。
しかし、「あかつきは,近日点において当初の想定よりも太陽に近くなる軌道を飛行している.そのため,特に近日点近傍では搭載機器の温度が上昇している.さらに,表面熱制御材が設計条件外の高温環境と紫外線の影響で劣化が進行しつつあり,今後も注意して運用を続ける必要がある」というちょっと心配な記述もある。
なんともやきもきさせてくれる「あかつき」だが、最後のところには期待の持てる記述もあった。
「科学観測の観点からは2016年に赤道面に近い金星周回軌道に投入するほうが望ましいが,2015年に金星周回軌道に投入するケースと比較して,設計寿命を超えた探査機の運用上の課題がある.今後,探査機の状態を見極めつつ,観測成果を最大化する軌道投入計画を立案していく」
軌道投入のチャンスは2015年と2016年の2回あるようだ。周回軌道の遠金点距離が予定の距離より遠くなってしまうようだが、これが上手くいって金星の気象観測が出来ることを期待したい。