アブラムシを食べるテントウムシの幼虫

一昨日はアブラムシを保護するアリの写真だったが、今日はアブラムシを餌にするテントウムシの幼虫の写真。これはナナホシテントウの幼虫のようだ。カラスノエンドウにたかっているアブラムシを襲っている。一般的に成虫は可愛らしい物として扱われ、アクセサリーにもその意匠が多いが、れっきとした肉食系だ。ただし昆虫は肉食系のほうが人間に好かれ、草食系は嫌われる。アブラムシは草食系なので作物を食い荒らす「害虫」とされ、そのアブラムシを食らう肉食系のナナホシテントウは「益虫」となる。でも、アリから見ると、アブラムシは益をもたらし、ナナホシテントウは敵である。
テレビドラマ「相棒」の劇場版をテレビで放映していた。一年前の正月、長女と一緒に映画館へ見に行ったのだが、再び見てしまった。その中で殺される直前の官房長が「正義の定義なんて立ち位置によって変わるもんでしょ」と言うシーンがある。なるほどアブラムシとナナホシテントウの仕業を正義と考えるか悪と考えるかは、アリと人間という立ち位置によって違っている。
さあ困った。ウルトラマン世代の僕は子ども頃から座右の銘「正義の味方」なのだ。これで損したことも少なくないが、それでも正義であることが気持ちを前向きにさせた。でも、官房長が言うように立ち位置について悩ましいこともある。例えば、ウルトラマンのシリーズの中でも「ウルトラセブン」は、ときどきモロボシダンの正義の気持ちに揺らぎが生じるところがある。「超兵器R1号」や「ノンマルトの使者」が代表的だ。仮面ライダー水戸黄門のように悪が悪としてくっきり存在していると分かりやすいが、僕はやっぱり、モロボシダンが立ち位置に悩むウルトラセブンの物語が好きだった。だから、「ダークゾーン」の回で、ウルトラセブンが「宇宙都市ペガッサ」を破壊してしまうシーンに納得がいかなかったりする。正義の味方好きである僕がウルトラセブンの正義を疑っているわけだ。ウルトラセブンは正義の味方であるから、それを疑うことは「正義の味方の敵」になってしまう。でも僕の座右の銘は正義の味方であるから、僕が正義の味方であるとなれば「ウルトラセブンは正義の味方の敵」となってしまう。
アリがアブラムシを世話する姿にも、テントウムシの幼虫がアブラムシを食べる姿にも、それを見た正義の味方は正義について悩む。きっとこれが正しい正義の味方だ。そう思う。