廃車置場

新興住宅の裏手に廃車置場があった。ナンバープレートを外された旧型車種の車が、たくさん積まれ並んでいる。僕の車は十何年も前の車種だから、並んでいる車には、僕が今乗っている車種よりも新しい型も少なくない。夕暮れの空が夕焼けに染まっている。そして、西の方から斜めの陽が差し、それが車の窓に反射して空と同じ色になっている。
最近は若い人たちの間で古い車種に乗るのが流行っているようだ。年齢が20代ぐらいに見える若いドライバーがブルーバード510やべレットGTなんかを運転しているのを見たことがある。昨日も、僕が子どもの頃によく見たリンカーンコンチネンタルに乗っている若い人がいた。ライトに蓋がついているドでかい車だ。古い車は燃費も悪いし整備費もかかるだろうと思う。
子どもの頃にあこがれた車に、大人になってから乗るというのは、なかなか贅沢な趣味だと思う。僕の場合、中学1年生の頃にスーパーカーブームというのがあった。僕も流行の中にいて、ホリデーオートなどの雑誌を買って穴の開くほど見た。雑誌に載っていたのはフェラーリマセラティなどの、家より値が高いような車ばかりだった。ほとんど実車を見たことすらない。今、あれらに乗るとしたら凄い贅沢だ。僕には全く無理だ。
一方、ブル510やベレGは僕が小さい頃はその辺を普通に走っていた大衆車だ。そういう意味では、今の僕の車も後20〜30年ぐらい先の未来には値打ちが出るだろうか。その前に僕がすっかりポンコツになって廃車になっていそうだが。