高圧電線

僕はどうやら鉄塔が気になるようで、これまで撮った写真を振り返ると、鉄塔の写真が時々出てくる。
20年ぐらい前になるだろうか、SimCityというゲームが好きで、しばらく凝っていたことがある。ゲームにもパチンコにもまるでハマらないが、これにはハマった。
当時の僕のパソコンは、会社の先輩社員から安く買った「EPSON 286 note-F」だった。白黒2色の反射液晶で、ハードディスクは内蔵していない。今思えば驚くべきスペックだ。反射液晶は暗いところでは見えないが、昼間は見やすくて、バックライトがついていた「NEC 98 note]よりも見やすくて良かった。ハードディスクは内蔵できないのだが、前ユーザーの先輩が投資していて、RAM-BoadとRAM-Cardを買っていたので、フロッピーディスクとあわせて5MBぐらいあるので快適だった。5GBではなく5MBだ。
しかし、286note-FはSimCityをするには向いていなかった。SimCityをモノクロ2色の画面でやっても何が何だか分からないからだ。それで僕も投資をした。15インチのカラーCRTを買った。そして286note-FにCRTを接続するための専用のボックスを買ったのだが、これが結構高かった。こうして僕の部屋にSimCityをやる環境が整った。
SimCityとは税金を集めて街を作っていくゲームで、税金を上げすぎると人口が減り税収が下がる。税金を下げると人が増えてくるが、学校や警察などを建設しないと治安が悪化する。治安の悪化も人口減に繋がる。
SimCityでは電気事情が悪いと分譲地を作っても新住民が寄り付かない。そのためせっせと電線をつなげなければならないのだが、高圧電線はひとマスを占有するのだ。何を言っているのか分からないかもしれないが、街づくりをしていく中で高圧電線は一定の面積を必要とする。これをケチケチすると非常時に困ることになる。平常時は繋がってさえいれば何ともない電気も、例えば火事で高圧電線が燃えてしまうと、迂回路をきちんと建設していない町ではたちまち電力不足に陥って、人口減に繋がる。発電所が火事になれば更に大変だ。電力の安定供給は危機管理の上でとても重要だった。
ところで、SimCityでは建設費の低い水力や石炭火力発電所から始まって、一番高級な発電所原子力だった。街が大きくならないとそう簡単に原発を建設するだけのお金が工面できない。そして、ようやく建設できたとしても、まれにメルトダウンが発生して街を汚染してしまう。これが発生すると大変だった。何十年も住めない地区ができてしまう。でもあの頃は、まさかそれが現実になろうとは思ってもみなかった。