ニセアカシアの花

ミツバチが大好きな花、蜜がたっぷり入っている。愛宕山にも何本かあるし、前に住んでいた荒川の下流域でも土手によく見られた。韮崎の方では河原にどっさり生えている場所があった。
ニセアカシアは、日本に移入して140年になる外来植物。なんでも、移入されたときには「アカシア」と呼ばれていたのに、その後に来た種類の方が本物だということになって「ニセアカシア」という不名誉な名前に変えられたのだということだ。
2時間ドラマなどで、死んだはずの誰かを装って活動していた者(犯人)の前に実は生きていた本物が現れると、あらびっくり、そして事件解決となる。でも、ニセアカシアの場合はそういうものでもない。だってニセアカシアは自分がニセモノであるつもりは毛頭無いはずだからだ。人間に勝手にアカシアと名付けられ、そして人間の都合でニセアカシアと名前を変えられてしまっただけだ。2時間ドラマの犯人のような邪な下心は無い。それでも人間社会にもニセアカシアのような境遇に会ってしまった善良な人は居そうだ。
ところが一方で、ニセアカシアは日本古来の生態系を破壊するということで、特定外来生物に順ずる「要注意外来生物」に指定されている。不名誉な名前のほかにありがたくないカテゴリーに入れられてしまったわけだが、人間に例えると、悲劇の主人公も裏ではいろいろヤバいことをやっていたといったところだろうか。もちろんこれもニセアカシアに悪気があるわけではなく、生きるためにやっていること。