柿の冬

秋には枝にどっさり成っていた柿の実は、無事に収穫された以外は、こんな風に枝にぶら下がりながら茶色く乾燥してしまったか、ヘタだけを枝に残して地面に落ちてしまったようだ。柿の実を美味しいと思う僕のところに柿は来ず、柿の実に飽きた人の庭に柿は実り朽ち果てた。

世の中の配分というのは、突き詰めてみると凡そこのようなものだろう。きっと僕に庭があり柿の木があったとしたら、僕は柿の実を食べることに飽きてしまい、柿の実が土に返ってしまうことに惜しみを感じなかったことだろう。